光文社「人生脚本」

光文社「人生脚本」の装画を描きました。人気脚本家・伴一彦さんの初めての長編サスペンスです。ヒリヒリとした緊張感が出る様、ライティングや、色調をどうすれば良いのか時間を掛けてじっくり練り上げました。画材はいつもと同じ油彩です。デザインは泉沢光雄ワークスの泉沢光雄さん。とても素敵に仕上げて頂きました。装画のデザインはもちろんですが、帯のデザインにも感動しました。「ドキドキ、ハラハラ、ヒリヒリ・・・」そんな感情を表現したかったので、構図でも一捻りしました。読者の不安をかき立てる為、カメラアングルを左上がりに傾けてあります。帯のデザインをそのアングルに合わせて下さったので、画面の不安な空気感が倍増しました。デザインの効果で、自分の考えていた以上の結果を得られました。 装画の制作にあたり、岐阜の友人の協力で、小説の舞台である中津川駅をロケハンして貰いました。彼の撮ってくれた膨大な写真資料のおかげで、安心して装画を仕上げることが出来ました。たとえば、今回装画に描いた特急しなのが何番ホームに停車するか、そのホームの周辺がどうなっているのか、描いていない後ろ側の風景もまた、描く時にその土地を想像する事ができるのでとても助かりました。作家・伴さんの鉄道ファンのご友人が、今回の装画を見て「この列車は特急しなのだ」と見抜いたそうです。資料のおかげですね。とても寒い中、一日掛けてロケハンしてくれた、岐阜の楠君、本当にありがとう!感謝しています。この作品は、最初から最後まで目が離せない展開の連続です。多くは語れませんが、いつかきっと映画やドラマになるのではないかと確信しています。原稿を読んでいる間、常に頭の中に風景が浮かんでいました。その素晴らしい描写力に支えられ、頭の中のイメージをそのまま描く事が出来たと思います。みなさんのイメージとも重なると嬉しいです。