小田急不動産システムガイド ( 会社案内 )にイラストレーションを1点描きました。今回のART DIRECTORはPARADOX INCの淵憲一さんです。
今回は「鳥瞰図の様な街の風景を作成して欲しい」というご依頼でした。空の部分は最後に描き足すとして、最初は前景から中景に描けて立ち並ぶ家々を一つづつ描いていきます。手前の部分は文章との兼ね合いでカットされる可能性が高かったのですが、最終的なトリミングで、好きな構図が作れるよう、使われない事は覚悟で前景もしっかりと描きました。
作業は地平線に近い奥の住宅から、手前に描き進めていきます。頂いた資料を参考に自分の好きな形や色に変えながら、小さな家を一軒ずつ描いていきます。気の遠い話ですが、とにかく一つづつ描くしかないのです。かなりの時間をかけ、全体の建物を描き終わりました。
今回は重くならないよう明度を上げて、淡い色合いに仕上げました。色味は三種類作り、デザイナーさんと相談しながら決めていきました。最初に頂いた資料写真は朝の風景のような、少し涼しさを感じる色合いで、ご依頼もその資料写真の雰囲気という事でしたので、最初にクールな色味のものを一つ。色々な色調を試している内に個人的にとても好みの色合いができたので、こちらもボツ覚悟で候補に入れておきました。最後の一つは作成時のノーマルな色合いのモノです。この三種類を観て頂き、完成させるバージョンを決定します。
1.クールな色調
2.暖かな色調
3.ノーマルな日常を感じる色調
色味と同じく、絵をどのようにトリミングするかもデサイナーさんと相談しながら決めていきます。
今回は左右のトリミングは無しで、空を大きく見せるか、建物をたくさん見せるかという選択でした。地平線が高いモノ、中くらいのモノ、低いモノ、その三種類から選んで頂きました。
a. 地平線が高い位置にあるバージョン
地平線が高い構図だと、前景に大きな建物が描けますので、奥行き感が出ますし、ダイナミックな動きのある絵になると感じました。しかし、欠点は文字を載せる空のスペースが狭くなってしまう事です。文字の入らない、タブロー画であれば、この構図が一番好きなのですが、広告として、文字と共存するには少し無理があるように感じました。
b. 地平線がほぼ真ん中の位置にあるバージョン
地平線を下げた事で空は広くなりましたが、手前の大きな建物が消えて迫力的には弱くなった感じがします。そして、空の広さですがそんなに大きなスペースでもないので、文字が余裕ではいるかというとそうでも無く、結果的に中途半端な効果しか得られない気がしました。あと構図的にも、上下でぱっくり二つに分かれるのは、なんだかお行儀が良すぎるというのか、面白みに欠ける様にも感じました。
c. 地平線が低い位置にあるバージョン
最後に、地平線が低い位置になるバージョンです。
手前の大きな家々が消えて手前から奥に流れるような奥行き感は弱くなってしまいましたが、空がかなり大きくなったので、高度をとても感じる構図になりました。鳥が空高くから見ているような、広大なイメージをこの構図には感じました。
選ばれたのは色味は1.クールな色調、そして構図は c.地平線が低い位置にあるバージョンでした。
文字とデザインが入るとこのような感じです。レイアウトの段階で右側のデザインにこの絵がうまく溶け込まなかったため、反転して使う事になりました。最終的にとても格好良く仕上げて頂きました。
今回の小田急不動産システムガイド ( 会社案内 )の表紙はこのような感じです。またお店などで見つけたら、手に取って頂ければ嬉しいです。